対岸の彼女 の書評・感想

けれど自分たちは、おんなじ丘をあがっているような気がしてならなかった。
立場も違う、ものの見方も、持っているものもいないものも違うが、
いつか同じ丘の上で、着いた着いたと手を合わせ笑い合うような、そんな気が漠然とした。

対岸の彼女

30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。
立場が違うということは、時に女同士を決裂させる。
女の人を区別するのは、女の人だ。性格も生活環境も全く違う2人の女性の友情は成立するのか?

いつも角田さんのエッセイばかりを読んでいるんですが、そのエッセイの中で(水曜日の神様)で 対岸の彼女で直木賞を受賞した時のことを


「対岸の彼女は初めて立ち位置や視点といったものを意識して書いたんです。」というような事を言っていて、なんだか気になったのですぐに読んでみました。


エッセイの中でのざっくばらんな人となりが非常に強烈な印象だけど初めて角田さんの書く小説を読んでみて同じように強烈な印象を感じた。


泣いた。


この人は本当に偉大だ。


ほとんどファンなので、贔屓しているのかもしれないけれどあぁ、やっぱりすごいなこの人は。


そう思いました。


読んでて苦しみを伴うのに読むのが辛くないってのがすごいと思った。


社会の厳しさや人間のそっけなさや生きていくことの苦しさが毒となって読んでいる間中ずっと体に蔓延していた。


読んでいて人との関わりが鬱陶しくなるようなそのリアルな描写や切実さは苦しさを伴うのに本を読んでいない間は中毒患者のように続きを読みたがる自分がいて 読み終わった後、良い人や嫌な人、分かり合える友達だとか、自分が正しいとか誰が正しいのかとか、 もしかしてそんな事はどうでもいいんじゃないか...という思いがした。


そう思った事は本当に結構衝撃だった。


だっていつだって自分が正しいと思ってきたし自分と合わない人は相手が悪いんだと疑いもせず決め付けてきた。


けれど良い人だって別のある面では必ず嫌な面や弱さがあるだろうし、分かり合える人なんてのは自分にとって都合の良い解釈をしてくれるだけなのかもしれないし、人はいくつになったって間違えることがあるのだからそんな事ひとつひとつに目くじらを立てたり、ピックアップしてあーだこーだ言う事自体とても小さな事なのかもしれないって思った。


社会の中で、人と生きていくという事はきっとこーゆー事なんだ。


良いとか悪いとか、好きな人、嫌いな人とかそんなものを超越した感じ。


まったく立場が違う葵と小夜子。


どのような角度で世界に接しているのか、その立ち位置や視点がまったく違うのだから分かり合えない部分があるのはきっと当然なんだろう。


分かり合えない時どちらが正しいとかじゃなくて、
それぞれの立ち位置の中でそれぞれが見つける部分


立ち止まる前にできることを捜し、へとへとになるまで働き続け、その日の終わりに疲れたねと笑顔でだれかと言い合うこと-
高校生の自分が待ち焦がれていた未来はそういう日々の先にしかあり得ないのかもしれないし、たぶん人よりもできることの少ない自分がそれでもはじめたかったのは、株式会社だの経営だのではなくて単純にこういうことだったような気がした。


なぜ私たちは年齢を重ねるのか。
生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。
出会うことを選ぶためだ。
選んだ場所に自分の足で歩いていくためだ。


がとても胸を打ちました。


そんな風にどちらかにだけ感情移入するのではなくてどちらも自分なんじゃないかと読むといいと思ったよ。


photo
対岸の彼女
文藝春秋 2004-11-09
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評価

空中庭園 花まんま 八日目の蝉 空中ブランコ 夜のピクニック

by G-Tools , 2010/02/10



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本を読んだり絵を描いたりホームページを作ったり文章を垂れ流すのが好きです。
お酒がほとんど飲めずたばこも吸えなくてギャンブルとか全然面白くない草食系で 笹とか食ってそーだよねって言われるのですがベースは熊ですのでお気を付け下さい。
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