五分後の世界 の書評・感想
五分後の世界 (幻冬舎文庫)
五分後の世界 (幻冬舎文庫)村上 龍

おすすめ平均
stars光輝く一冊
stars5分後の世界の日本と現実の世界の日本
starsこれが理想郷?
starsそんなに良いですか?
stars私には無理。

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五分後の世界

五分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口126万に激減していた。
国連軍との本土決戦のさ中で、アンダーグラウンド兵士の思いは...。

なんだこの世界は


スゲーよ。



スゲー疲れた。



日本が第二次世界大戦後も米軍を中心とする連合軍と戦争を継続しているもうひとつの世界(パラレルワールド)に主人公が紛れ込んでしまう物語なんですがその世界観や組織、設定がものすごい緻密で圧倒的にリアルだった。



第ニ次世界大戦を降伏せず戦いを続ける日本は広島、長崎、小倉、新潟、舞鶴に原爆を投下され少年少女から老人まですべての国民を兵士にしながら本土でも戦いを続ける



ソ連やアメリカ軍が北海道や関東に上陸してきて戦闘と空襲によって交通機関や運輸、通信などの国としての働きはすべて止まり東京はアメリカ軍に占領され軍の指導者が逮捕され大日本帝国は消滅する。



この戦争やその後のゲリラ戦や飢えや疫病で日本の人口は3千万人を下回りアメリカ、ソ連、イギリス、中国の4つの国に分割統治されてしまう。



その後それぞれの国の外国人が入植してきて各地域で混血化が進み現在純血の日本人は26万人しかいなくなり、彼らは国民とか国民ゲリラ、アンダーグラウンドと呼ばれる地下にいてその姿を見られるだけでもすばらしいという圧倒的な存在で、その下に準国民と呼ばれる大勢の人間がいて混血児達は非国民と呼ばれる



このもうひとつの日本に迷い込んだ主人公小田桐が戦争で戦ったりアンダーグラウンドと歴史や価値観について会話したりしながら元の世界に帰ろうとするんですが暴力的な描写が多いというか、ほぼ全編を通して戦争と暴力で、その一字一句までが暴力的な意思を持っているようで読んでいて本当に疲れた。



大戦後、日本が降伏しなかったら...という仮定を現実にしてジャーナリズムというか、日本人として世界とどう対峙していくべきなのかという具体的な話があり、村上さんはこの本の中で最初から最後まで徹頭徹尾その事を書きたかったのではと僕は思いました。


わからんけど。



物語の中で「エイジアン・ポリリズム」というビートを提唱するピアニストが演奏するシーンで



~音が目に見えるようだった。~



という表現があるんですが、僕にとってこの本自体がそういう存在でした。



読んでいてこの本の言葉のひとつひとつが物質を形作っていくように描かれているシーンがはっきりと目に浮かんだ。



きっと綿密に練られた世界観がそこにあるから無意識にそう感じるんだろう。



圧倒的な文章力と綿密に練られた世界観が衝撃的にリアル。



そんな本が読みたかったらこれはおすすめです。



けれど今の平和ボケした日本に対してとても強く挑発的なメッセージを剥き出しにしていて、僕は戦争をしたり殺しあいをしたりするのはどんな正当な理由があれ絶対的に正当化出来ない事だと思うのでそういった意味で問題作だなーと思いました。
 

間違いない、と小田桐は思った。

こいつがあのドビュッシーを弾き、あのバレエのための複雑極まるビートの音楽を作ったのだ、

個性が強いオーラとなって届くわけではない、

こいつの中に他の人にはない製作工場のようなものがあるわけでもない、

ただこいつは意志を持っている、未だ形のないものに形を与えようという意志、

小田桐にはその意志が光り輝くものとして目に見えるようだった。

ちょうどワカマツの弾くドビュッシーの音が光の粒子として目に見える気がしたのと同じように。


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by G-Tools , 2010/08/06



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