悪人 の書評・感想

俺、それまでは部屋にこもって映画ばっかり見とったけん、
人間が泣いたり、悲しんだり、怒ったり、憎んだりする姿は、腐るほど見とったっちゃけど、人の気持ちに匂いがしたのは、あのときが初めてでした。
ちゃんと説明できんとが自分でも悔しいとやけど、あのお父さんが増尾の足に、必死にしがみついとる姿を見た瞬間、なんていうか、今回の事件がはっきりと感じられたっていうか...。

悪人

保険外交員の女が殺害された。
捜査線上に浮かぶ男。
彼と出会ったもう一人の女。
加害者と被害者、それぞれの家族たち。
群像劇は、逃亡劇から純愛劇へ。
なぜ、事件は起きたのか?
なぜ、二人は逃げ続けるのか?
そして、悪人とはいったい誰なのか。

なんて生々しいんだろう。


これは現実社会そのものを写し取ったリアルな出来事で、ノンフィクションなんじゃないか?


そう思った。


本当に起きてしまった殺人事件を元に加害者や被害者の親や知人、近所の人に取材をしながら書いたような生々しさがありました。


ニュースやネットのトピックスで見る殺人事件、ほとんどなんにも考えずに誰かが殺されたという情報を昼ご飯を食べながらぼんやり眺めたりする。


そーゆーの、改めて感覚が麻痺してるんだって思ってゾッとした。


相当狂ってる。


事件の見出しだけを見て知った気になって、内容や事情を感じる事、考える事を一切しようとしていない。それは何も知らないのと同じ事だと思う。


映像やインタビューを交えながら事件にいたるまでの出来事や犯人の生い立ちを報道するニュースより、文章だけのこの「悪人」の方がずっと考えさせられた。


それが本当にすごい事だと思う。


殺人事件に対する見方が読む前とまったく変わってしまった。


人を殺してしまった殺人犯は本当に凶悪な殺人鬼なんだろうか?


被害者にも事件が起きる原因になるような悪い所は本当になかったんだろうか?


それよりももっと吐き気のするような「悪意」が世の中には何食わぬ顔して溢れていたりするんじゃなかろうか?


読み終わった後そんな事を考えました。


後味がすごく悪かったけど、今まで考えなかった事をただただ考えさせられました。


面白いかどうかじゃなくて考えさせられるかどうか。


そうゆう本だと思う。


被害者の親と加害者の親、両方の心境が描かれていてその視点を通して親になる事の責任の大きさとか絆の強さとかほとんど盲目的なその愛情の深さを感じた。


子を育てる親の強さと、それでも人である以上弱さや短所だって当たり前にあるわけで。


そーゆー視点の描写がすごいリアルだった。


当事者だけじゃなく親の視点を通して事件を見る事で物語に深みが出ていると思いました。


この視点があるとないでは受け止め方の深さが全然違う。

この視点で見る事件がとにかく辛かったです。



生真面目で不器用で車だけが趣味の祐一

結婚相手が見つからず淡々と寂しい毎日を送る光代

性悪で出会い系サイトで知り合った男にお金をもらってはセックスする佳乃

実家が旅館を経営していて博多駅前に広いマンションを借りアウディに乗るボンボン大学生の増尾


物語が進む中でそれぞれの視点を通して事件を見ていて例えば祐一や光代、誰かに肩入れしてしまいそうになるけれどどんな理由があれ人を殺してしまう事は許されないし罰を受けなくてはいけないと両方の親が強く訴えていると感じました。



photo
悪人
朝日新聞社 2007-04-06
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評価

パレード (幻冬舎文庫) 最後の息子 (文春文庫) 横道世之介 さよなら渓谷 女たちは二度遊ぶ (角川文庫)

by G-Tools , 2010/09/23



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本を読んだり絵を描いたりホームページを作ったり文章を垂れ流すのが好きです。
お酒がほとんど飲めずたばこも吸えなくてギャンブルとか全然面白くない草食系で 笹とか食ってそーだよねって言われるのですがベースは熊ですのでお気を付け下さい。
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