箱庭図書館 の書評・感想

正直にむきあいたい人がいるんだ。
だから私は大人になることをえらんだ。

箱庭図書館


少年が小説家になった理由。コンビニ強盗との奇妙な共同作業。ふたりぼっちの文芸部員の青くてイタいやりとり。謎の鍵にあう鍵穴をさがす冒険。ふと迷いこんだ子どもたちだけの夜の王国。雪の上の靴跡からはじまる不思議な出会い。集英社WEB文芸「RENZ ABURO」の人気企画「オツイチ小説再生工場」から生まれた6つの物語。

2012年最初のレビューになるんですが「箱庭図書館」読みました。
さっきAmazonのレビュー見たら乙一さんのファンってすごいコアだったから僕みたいなにわかファンが感想とか書いていいのかなって思うんですが自分のブログで書く分には大丈夫そうかな・・って思うしほんと面白かったので2012年読み初めに書いてみました。

収録されている作品「小説家のつくり方」「コンビニ日和!」「青春絶縁体」「ワンダーランド」「王国の旗」「ホワイト・ステップ」は集英社のWEB文芸「RENZABURO」の企画「オツイチ小説再生工場」で読者の方にボツ原稿をおくってもらってそれを乙一さんがリメイクして生まれたそうです。

Amazonレビューで「一般人のボツ原稿だからプロットが甘い」とか「オチが読めた」「乙一らしさがない」とかレベルの高い批評もあったんだけど個人的にはとても楽しめました。プロットとか伏線、作者らしさとかあんまこだわりなくてなんも考えてないかったからかもしれません。(汗)

これだけ高い要求や期待を満たし続けなきゃいけない作家ってやっぱり大変な職業なんだなぁ。

文善寺町という町で暮らす人や起きたことをそれぞれの短編で紐づけていて1話目で出てきた人と6話目で出てくる人がつながっていたりしてて面白かったです。短編にすると主人公を複数作れて色んな人の視点で色んな角度から物語を書けるんですね。収録されている短編から印象深かったものを紹介しますね。


「青春絶縁体」
光り輝く青春に憧れるも内気で友達がいない闇上がりな高校生が自らの存在そのものを【青春の絶縁体】だと耶喩しながらそれでも勇気を出して他者と関わろうとする姿勢がとても胸を打ちました。
すごい卑屈な登場人物が乙一さんらしくて大好きです。「暗いところで待ち合わせ」もこんなやった。

僕は人に嫌なおもいをさせてしまうことがよくあったけど、それはいつも自分のいたらなさからだった。今のように悪意を持って嫌なおもいをさせるのは、もうしひらきができない最悪のことだ。本当に最低だ。

大勢のなかで萎縮してしまい、話しかけられてもうまく言葉が発せられず、つっかえてしまう
傷つきやすく自身自意識過剰ぎみで人の目が気になり内に閉じてしまう
すごい不器用なんだけどなんてゆうか「友達は多いけど浅い付き合いの人」よりも圧倒的に正しい気がする。人付き合いが下手でも内に抱えているものはひどくピュアでそれが見ていてとても優しい気持ちになるんです。


「王国の旗」
こどもたちだけが暮らす王国に迷い込んだ女子高生。少し前にクラスメイトに告白されて付き合ってみるが彼のことを八百屋で売ってる大根くらいにしか興味が持てず悶々としている。自分はまったく彼に興味が持てないのに自分の話をちゃんと聞いてくれる彼に申し訳ない気持ちでいっぱいになっている。そんな時迷い込んだこどもたちの王国。
こどもたちから王国の人間になってここで皆で楽しく暮らし大人達を倒そうと誘われるが本当の気持ち(まったく好きじゃないこと)を伝えられずにいる彼とちゃんと向き合いたいために誘いを断り・・・

本当の気持ちを伝えて彼と向き合いたいけどその本当の気持ちが【ごめん、全然好きじゃないんだ】ってことが面白かったです。 ほんと卑屈だよなこの人w
それが例え肯定の感情じゃなくても思い悩んで、気持ちを正直に伝えよう。でも彼を傷つけたくない。ってくだりはなんだか胸が熱くなった。なんで好きじゃないんだってことを伝えようとしてるのに胸が熱くなるのかわけわかんないけどこういうのが本当に乙一さんらしい。

私はきみに無関心なのに!きみは私の話を聞こうとする!
ほんとうのことを言えないまま時間がすぎた。彼に告げることがなかなかできなかった。
私はきみのことを好きじゃないんだ。友人の一人だとおもってる。
だけどかなしませたくないんだ。傷つけたくないんだ。
こういう恋愛沙汰でなやんでいる自分もきらいなんだ。
ややこしいことはかんがえたくないんだ。シンプルに生きてみたいんだ。
でも、決断するのがこわいんだ。逃げているんだ。
みんなとおんなじように男の子とつきあってみたかった、だなんてかんがえた自分もきらいなんだ。平凡な人間になりたくないっておもっていたはずなのに。
どこにでもいるようなふつうの大人になりたくないっておもっていたはずなのに。
決断しなくちゃいけないってことは、わかっているんだ。
きみとむきあわなくちゃいけないってことは、わかっているんだよ。

王国の人間にならない=大人になる=逃げずに正直に向き合いたい人がいる
がちゃんと1つに繋がっていてストンと落ちました。

最後に収録されている「ホワイト・ステップ」は特に乙一さんらしくて1番感動したんですが僕の感想などで先入観を持ってしまわないように一切触れんでおきます。興味を持たれたようでしたらぜひご覧になってください。


「青春絶縁体」の中で書かれていた「物語を紡ぐことができるのは、ひとにぎりの、才能のある人たちなのだ。僕たちはそれをただ、羨望のまなざしで見ていることしかできない。」って表現の卑屈さに禿同で個人的にブログに小説の感想を書く時は【自分が面白かったって思った本だけを書こう】って決めています。

読書って捉え方とか感じ方に正解がなくて人によって面白いの定義が違うから、その作家のファンの人や作品のファンの人がたまたま僕みたいなイモ虫が暇つぶしで読んでポテチ食いながら書いたような読書感想文で気分を害するのはなんだか申し訳なくて。
肯定的な感想だったら僕のレビューを浅はかだと思う人はいても誰かを傷つける恐れがないかなって思うんです。変に批評家っぽくなって楽しめなくなるのも嫌だしね。

WEB文芸の企画から生まれタイトルもTwitter上で募集したらしく読者と一緒に作った新しい試みで面白いと思いました。 iPadやKindleなど電子書籍のことも書かれていて時代をちゃんと捉えていると思う。 読後感も爽やかでこの作家の書く作品をもっと読みたいって思える内容だと思ったよ。
オススメです。


photo
箱庭図書館
集英社 2011-03-25
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評価

なみだめネズミ イグナートのぼうけん 百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫) 吉祥寺の朝日奈くん 少年少女漂流記 (集英社文庫) GOTH  モリノヨル

by G-Tools , 2012/01/05

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本を読んだり絵を描いたりホームページを作ったり文章を垂れ流すのが好きです。
お酒がほとんど飲めずたばこも吸えなくてギャンブルとか全然面白くない草食系で 笹とか食ってそーだよねって言われるのですがベースは熊ですのでお気を付け下さい。
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