ジェノサイド の書評・感想

恐ろしいのは知力ではなく、ましてや武力でもない。
この世でもっとも恐ろしいのは、それを使う人格なんです。

ジェノサイド

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが...。


2012年版「このミステリーがすごい!」1位の高野和明さんの「ジェノサイド」読みました。

うまく言えないんですが読み終わった後、(この面白さ、ハリウッド級。)ってキャッチコピーが頭に浮かびました。

スケールでけー。
スケールの大きさと緻密に練り上げられた設定は圧倒的だった。

舞台となる場所は日本、コンゴ、アメリカの3つの国をまたいで展開していくしFBIやCIAといったアメリカの組織が出てきたり創薬科学に関するかなり具体的な記述が出てきて読み応え十分。

アメリカのホワイトハウスではコンゴで発生した「ある脅威」に対する計画が立てられる。

物語の主軸となるのは日本で創薬科学を専攻する大学院生の古賀研人とアメリカの特殊部隊出身の傭兵・ジョナサン・イエーガー。

研人の元に胸部大動脈瘤の破裂により亡くなった父親から暗号化されたメールが届く。
「アイスキャンディで汚した本を開け」
小学生の頃に父が見せてくれた元素周期の本にアイスキャンディを落として汚してしまった。
研人と父親しか知らない情報によって暗号化されたメールを元に研人は父が残した隠れ家のような実験室に辿りつき、そこでキャッシュカードに残された遺産と父親が研究していた肺胞上皮細胞硬化症という病気の特効薬を創る研究を引き継ぐことになる。

一方アメリカ人の傭兵ジョナサン・イエーガーは息子のジャスティンがこの肺胞上皮細胞硬化症という病気を発症していていて莫大な治療費を稼ぐために陸軍を離れ民間軍事会社と契約している。
そこでトップシークレットの破格の報酬の仕事を紹介される。
末期症状の息子の余命は1ヶ月。集中治療室に入りまた多くの治療費が必要となりコンゴで実行される作戦に参加する。

ルワンダの虐殺が発端で始まった第一次アフリカ対戦。
イェーガーが巻き込まれるのは大義もイデオロギーも愛国心もない無差別な虐殺。

研人が挑むのは新薬開発によって病気に苦しむ世界中の人々を助けたいという無差別な救い。

このふたつが対比となり、交錯し、さらに様々なエッセンスを散りばめながら物語は進んでいき
やがて1つの大きな点に結びつくんですがこの運び方がほんとよくできている。

エンターテイメント小説としてずば抜けて面白いんだけどそれだけじゃなくて人間の善悪、使命、親子の絆、友人の大切さとかすごく大事なことが書かれていました。

泣けた。

あの子は何も悪いことなどしていないのに、どうしてあんなに苦しまなくてはならないんだろう。
どうして、たったの六歳で死んでしまうのだろう。
科学者の端くれである研人には、その答えは分かっていた。
時として自然は人間に対し、無差別に、残酷なほどの不平等をもたらす。
そうした脅威と戦うために薬学の研究者がいるというのに自分は今まで何をしてきたのか。
大学に入学してからの六年間、何の使命感も持たずに無為に日々を積み重ねてきてしまった。
捨てたも同然の年月だった。

主人公が特効薬の開発で行き詰まり、目の前で苦しむ幼児を救う方法が見つからず途方に暮れるシーンなんだけどこれはものすごく根本的な問題を描いている気がする。コンプライアンスとか社員教育とかじゃなくて【使命感】みたいなものがその人の中にあるかないか。

世界で1人だけ肺胞上皮細胞硬化症の治療薬を研究しているポルトガル人医師の書いた論文をダウンロードして読むシーンがあるんだけどそうゆう人達の書く論文はPV数を稼いで人気ブログになってはてブでホッテン入りしたいとかアフィリエイトでお小遣い稼ぎするためじゃない。

もっと崇高な目的があって、そうやって日夜研究したことを論文にして世界中の医者や研究者が参考にしたり研究に役立てたりしている真摯さを思うとブログでお手軽記事を書いてお小遣い稼ぎ!とか考えていた自分が恥ずかしかった。

僕はブログとか書いているのでその辺りが琴線に触れましたがどんな人でも何か考えさせられるテーマ(とりわけ僕はそれが何かに取り組む時の「真剣さ」だと思うんですが)がこの本の中にはあると思います。

この作品は25年の準備期間を経て世に出されたそうです。

時代背景や国際情勢によって見送られていたそうですが長い年月をかけて練り上げられた超大作。

最高でした。感動をありがとう!!



photo
ジェノサイド
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-03-30
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評価

13階段 (講談社文庫) グレイヴディッガー (講談社文庫) 幽霊人命救助隊 (文春文庫) 舟を編む ピエタ

by G-Tools , 2012/07/28

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本を読んだり絵を描いたりホームページを作ったり文章を垂れ流すのが好きです。
お酒がほとんど飲めずたばこも吸えなくてギャンブルとか全然面白くない草食系で 笹とか食ってそーだよねって言われるのですがベースは熊ですのでお気を付け下さい。
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