夢違 の書評・感想

最初は普通の夢なの。
最初は他愛のない、いつもの夢から始まるの。
でもね、そのうち、「亜麻色の髪の乙女」が流れてくるの。
そしてあの曲が流れてくるのよ、第十曲の「沈める寺」が。

夢違

yumechigai.jpg 夢を映像として記録し、デジタル化した「夢札」。夢を解析する「夢判断」を職業とする浩章は、亡くなったはずの女の影に悩まされていた。予知夢を見る女、結衣子。俺は幽霊を視ているのだろうか?そんな折、浩章のもとに奇妙な依頼が舞い込む。各地の小学校で頻発する集団白昼夢。狂乱に陥った子供たちの「夢札」を視た浩章は、そこにある符合を見出す。悪夢を変えることはできるのか。夢の源を追い、奈良・吉野に向かった浩章を待っていたものは―。人は何処まで"視る"ことができるのか?物語の地平を変える、恩田陸の新境地。


恩田陸さんの約2年ぶりとなる新作「夢違」を読みました。

思えば冒頭の「最初は普通の夢なの。最初は他愛のない、いつもの夢から始まるの。でもね、そのうち、「亜麻色の髪の乙女」が流れてくるの。そしてあの曲が流れてくるのよ、第十曲の「沈める寺」が。」 という一文で物語の中に一気に引きずりこまれた。

好むと好まざるとに関わらず力を持つものは見るものをその世界に引きずり込む。
この後一体何が起こるんだろう?見てみたいような、見たくないような、
それでもふらふら吸い寄せられるようにページをめくり、目眩く夜。

こえぇ・・・。
マジで怖すぎだろう この描写力。。

読んでいる間ずっと世界が歪んで得体のしれない空間に飲み込まれてしまったようなゾクゾク感がしてたまりませんでした。

色々と思う所はあるんですが1番強く思ったのはこれはミステリーとして読まない方がいい。

こぅ、伏線を辿っていってそれが最後でひとつに繋がりラストで全てが明らかになるとか、
そうゆうことを一切期待しない方がいい。きっと後悔をする。

読まれた方のレビューや読書メーターをナナメ読みしたんですがそこらへんを批判されている方を多く見掛けました。

自分も小学校で起きた集団白昼夢の謎、夢札に写っていた山科 早夜香の夢、いったい教室に何が入ってきたのか?

そうゆうことがすごい気になってどんどんページをめくっていたんですが。。


私事なんですが僕はEvernoteに【夢日記】ってノートブックを作って印象深かった夢をメモっていってるんですね。それでメモに残した夢は録画したドラマみたいに記憶からひっぱり出してきて再生することが出来るんです。なのにメモに書いてない夢はいつの間にか消えててひとつも思い出せないんですよね。全部。全部忘れて消えてしまう。


受け止め方は様々だと思うけど、僕はこれは【恩田 陸という白昼夢】なんだと思いました。

ミステリーではなく白昼夢なんだって。

白昼夢 目覚めている状態で見る現実味を帯びた非現実的な体験や、現実から離れて何かを考えている状態を表す言葉
(wikipedia)

恩田さん自身がインタビューの中で「常に書きすぎないこと」を意識しているって言われているし、ラストシーンは解釈の仕方によってハッピーにもなるし病んだ感じにもなるしモヤっとする。

書きすぎないことやあやふやなラストってきっと
ミステリーとしては成立しないだろうしそれよりもこの独特の空気感を楽しんだ方がずっといい。

見ている間動悸が激しくなるほどリアルなのに、目が覚めると消えてしまう夢のような物語。

そんな風に思いました。

ただ個人的にこの物語をどうゆう風に捉え、心の中に落とし込むか。ラストシーンをどう解釈するか、ポイントになる部分を読み返してまとめた僕の感想を書こうと思います。

もしもまだ読んでいない方はここから先はネタバレを含むので読まないでくださいね。

楽天ブックスの恩田陸さんのインタビューを張っておきます。

楽天ブックス: 著者インタビュー - 恩田陸さん『夢違』
onda_interview2.jpg
















ラストで夢違観音のガラスにうつっている結衣子は本物で、あれは夢から目覚めたんだと思う。

まず思ったのが「浩章の夢じゃないか?」
でもこれだと冒頭から何度も出てきた3月14日の意味がほとんどない。
日付とかわりと現実的なことをあらわす数字をくり返し使ったのに最後に夢オチにしてそれを曖昧なものにしてしまうのはさすがにないかなって思う。

それと「結衣子が死んでしまい夢の世界の住人になり世界に介入できるようになった」
浩章が夢違観音の前で「彼女がいい夢を見られるように、協力してあげてください。」って願うシーンがあるんだけど、もし結衣子が死んでしまっていたら「彼女はいい夢を見られなかった」んだからここの文章はちぐはぐなものになってしまう。

それから関係がないかもしれないけれど結衣子が浩章と一緒にいる時に見た夢の内容、
あれはホテルの窓越しに浩章と目が合った時の予知夢なんじゃないか。

「あっ」って驚く仕草がすごく似ていてそう思ったのと「上で待ってる」っていうのは浩章が後に向かう蔵王堂のことを指している気がする 浩章のターンで結衣子と目が合った時そんな会話はなかったけどね。

結衣子の頭がかくんと傾くシーンも死を意味してるんじゃなくて、↑の夢を見た時に同じ描写、表現があって(かくん、と結衣子の頭が沈む)、やっぱりここに繋がってるんじゃないかって気がする。

そんな流れを汲むと再開する良い夢というか、ラストシーンは結衣子が悪い夢を良い夢に変えれるように願った浩章と目を覚ました結衣子が再開する(良い予知夢を見れていた)ってハッピーエンドとして捉えれるのかなぁって思いました。

服装も黒いコートじゃなくてグレイのアンサンブルニットとフレアスカートだし。そうしたら最初に浩章が見掛けた結衣子は本物だったんだろうか?

まぁいいんだよ、違っても。俺はそう思うことにしたんだもん。
見る人の都合のいいように解釈していいのかなって思いました。


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本を読んだり絵を描いたりホームページを作ったり文章を垂れ流すのが好きです。
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