ナタリー の書評・感想

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ナタリー

natarie.jpg 美しく聡明なナタリーとその夫フランソワは、出会ってから七年間、ずっと幸せに暮らしてきた。 しかし、ある日曜日、フランソワは交通事故で他界する。 残されたナタリーは、それ以来、仕事に打ち込んで生きてきた。 しかし、ある日その生活は、不器用で飾り気のないスウェーデン人マルキュスによって一変する。 数々の断章を交えた独特の手法で描き出される、ふたりの恋の行方は? フランスで高く評価されたベストセラー。オドレイ・トトゥ主演映画原作


自分が暮らしている日常と少しだけずれていて、けれどその違いに気付くことはほとんどなく、実際に起こりうる可能性のあるような物語に心が躍る。

僕たちが恋愛小説に求めるのはそんな世界観ではないだろうか。
ある日、往来で素敵な出会いがあったり、職場でゆっくりと恋が芽生えたり。

というか普通に暮らしてる人は当たり前にそんなことがあるのかもしれませんが僕は人と関わる時間よりパソコンと向き合う時間の方が圧倒的に多い人なのでそんなこともぅ映画とか二次元とかでしかありえないわけで。

憧れる反面、恋愛小説の持つまばゆさに疎ましさを感じたりもしてあんま読まないんです。

人によっては物足りないと感じるかもしれませんが起伏の少ないこの物語が僕にはフィットして読んでいてとても心地よかったです。

美しく聡明なナタリーは愛する夫を交通事故で失い、それ以来誰も好きにならず、仕事に打ち込んできた。ナタリーの感じた大きな喪失感、反対に抱え続けるフランソワとの思い出を失いたくないという思い。新しい出会いへの拒絶、拒否反応。

そういった心に負った傷を少しずつ癒していくのがマルキュスという(本当に)冴えないスウェーデン人で(本当に)良かった。この物語の中でのスウェーデン人の扱いが本当にひどい(笑

このスウェーデン人の扱いのひどさはどうかと思うけどマルキュスは冴えないけどユーモアがあって、優しくて、ナイーブですごく良い奴です。

ナタリーにアタックするマルキュス、傷つくまいと身を引こうとするマルキュス、気の利いたユーモアでナタリーをリラックスさせようとするマルキュス。ナタリーを想い眠れぬ夜を過ごすマルキュス。

マルキュスの一挙一動にいちいち胸が熱くなった。

マルキュスという男は僕のような冴えない男にとって希望の星でした。
ありがとうマルキュス!がんばれバルキュス!!

二人のロマンスのきっかけとなるのがナタリーが【たまたま】マルキュスにしてしまったキス。
このキスはなんていうかもぅ本当にたまたまで、ナタリーはマルキュスのことが好きとか全然そんなんじゃない。一番近い表現をあげるとしたら【出会い頭の事故】だろうか。

フランソワの死後、自分の殻に閉じこもっていたけど、その後なんとか仕事に復帰し、仲間とバーへ出掛け、男性に声を掛けられ、少しずつ殻を破って外の世界に出てきていたナタリーが取り戻しそうになっていたのは生きる原動力。輝く生命の力。例えばコンクリートを歩くハイヒールの立てる音。躍動感。そういった無限にあふれ出すようなエネルギーを得ようとしていたナタリーが、その推進力でマルキュスにキスをしてしまう。それは圧倒的に出会い頭の事故だった。

誤算。過ち。失態。後悔。

ナタリーにはそんな思いしかなかった。

「あなたは、私が夢想に耽っているときに現れて、
私はとっさに現実に戻ることができなかったんです。」

だから自分の犯した過ちをマルキュスに謝罪するナタリー

その時のマルキュスの言葉

「でも、その瞬間が、僕には人生で一番現実だったんです。。」

なんてゆうかこの辺のくだりが涙なしには見れませんでした。

素朴で純情でスウェーデン人的で冴えないマルキュスにとってナタリーは高嶺の花。
ナタリーにとっての出会い頭の事故がマルキュスにとって一番生きている実感を感じるリアルだったなんて。

章と章の間に挟まれるナタリーの好きな曲の歌詞の引用や料理のレシピなどがとてもユニークな手法で目を引きます。その章の余韻を上手く引き継ぎ、一呼吸おいて次の章へ行けました。

なによりナタリーの心の扉を開くのが冴えないけれど優しく、素朴で、細やかな心配りのできるマルキュスなことが素晴らしい。人の心に影響を与えるもの、ハートを揺さぶるものはやはり内面、心であって欲しいのかもしれません。

喪失感から立ち直るナタリーの勇気やマルキュスの心配りに触れて元気をもらいました。
そうしてもらった元気を自分が暮らしている日常に持ち帰って、また日々を頑張れる。
小説にはきっとそんな力があると僕は思います。


彼女は「石蹴り遊び」を読んで、主人公たちが「浮浪者のふとした一言から生れ落ちた道順」をたどりながら往来で出くわそうとする場面がことのほか気に入ったのだ。
夜、主人公たちは、どの瞬間に彼らは出会うことができたか、いつ、彼らが間違いなくすれ違ったかを見るため、地図の上に自分たちがたどった跡をもう一度再現してみる。
彼女が行こうとしていたのはそこだ。つまり小説の中だ。



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ナタリー
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by G-Tools , 2013/01/11

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